親が施設に入った、あるいは亡くなって、誰も住まなくなった実家。「売るべきか、残すべきか」で迷う方は、本当にたくさんいます。
結論から言うと、判断は「使う予定・維持コスト・家族の合意・建物の状態・立地の需要」の5点でほぼ決まります。
この記事では、後悔しないための判断基準と、売却・賃貸・保有それぞれが向いている人を、費用の数字とあわせて整理していきましょう。
実家は「売る・貸す・残す」の3択で考える
「売るか残すか」の二択で考えると、かえって行き詰まりがち。実際には売る・貸す・残す(保有)の3択で考えると、道筋が見えやすくなります。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 売る | まとまった現金が入り、維持費と管理から解放される | 将来住む選択肢は失う |
| 貸す | 家を残しつつ家賃収入を得られる | 修繕・入居者対応・空室リスク |
| 残す(保有) | いつでも使える | 使わなくても維持費が毎年かかる |
まず「残す場合のコスト」を数字にする
空き家は、持っているだけで毎年お金がかかります。判断の前に、次の費用を書き出してみましょう。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 住まなくても毎年課税される |
| 管理・修繕費 | 庭木の手入れ、通風・通水、屋根や外壁の傷みへの対応。遠方なら交通費や管理サービス代も |
| 火災保険・地震保険 | 空き家は補償条件が変わることがある |
| 光熱費の基本料金 | 契約を残す場合の最低料金 |
これらを合計すると、使っていない家に年間で数十万円が出ていく、というケースも少なくありません。
とくに注意したいのが、管理不全で「特定空家」や「管理不全空家」に指定されると、住宅用地の固定資産税の軽減(最大6分の1)が外れ、税負担が大きく上がる点。放置するほど、コストもリスクも膨らんでいきます。空き家放置の詳しいリスクは空き家を放置するとかかる費用とリスクで解説しています。
後悔しないための判断基準5つ
次の5つを順に確認すると、自分の答えが見えてきます。
- 使う予定はあるか:数年以内に自分や子が住む・貸す具体的な予定があるか。「いつか」は予定に入れない。
- 維持し続けられるか:毎年のコストと管理の手間を、無理なく負担できるか。
- 相続人の合意はあるか:兄弟姉妹で方針が一致しているか。共有名義のまま放置すると後々もめやすい。
- 建物の状態はどうか:築年数・傷み具合。古家は解体費や値引きも視野に入れる。
- 立地に需要はあるか:売れる・貸せる場所か。まず査定で相場を知るのが近道。
5つのうち「使う予定がなく、維持も難しい」に当てはまるなら、売却に傾くのが自然です。
逆に、近く使う予定があって維持もできるなら、残す・貸すが候補になります。
売却を考えるなら「親が元気なうち」も一つのタイミング
親が介護施設への入居を決めたときは、実家売却を検討する一つのタイミングです。
親の判断能力が確かなうちであれば、本人の意思で売却でき、資産を現金化して介護費用にあてやすくなります。
気をつけたいのは、認知症などで判断能力が低下してからでは、そう簡単にいかないこと。成年後見人を立てないと売却できず、手続きが一気に難しくなります。だからこそ、元気なうちの話し合いが大切です。親が元気なうちに確認しておきたいことは親が元気なうちに確認しておくことにまとめています。
「残す」が向いている人/「売る」が向いている人
残す・貸すが向いているのは、近く使う予定があり、維持コストを負担でき、家族の合意もある人。
売るのが向いているのは、使う予定がなく、遠方などで管理が難しく、維持費や放置リスクを避けたい人です。
実際には「使う予定がなく、管理も難しい」というケースが多く、その場合は早めの売却が合理的になりやすいもの。
相続した空き家の売却なら、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例もあり、税負担を抑えられる場合があります(適用要件は細かいので、税理士に確認しましょう)。相続後の売却手順は相続した実家を売却する流れで詳しく解説しています。
迷ったときの進め方
「売る・貸す・残す」は、名義・相続・家財の状況とも絡む、複合的な判断です。頭の中だけで考えると、どうしても堂々巡りになりがち。
まずは残す場合の年間コストを書き出し、複数社の査定で「売った場合の金額」を把握する——この2つを並べるだけで、判断はぐっと現実的になります。何から手をつけるか迷ったら、1分ほどの診断で自分の状況を整理してみてください。
よくある質問
Q. 実家は空き家のまま持ち続けても大丈夫ですか?
A. 持ち続けること自体は可能ですが、固定資産税・管理費・保険料が毎年かかります。管理不全で「特定空家」等に指定されると税優遇が外れ、負担はさらに増えます。使う予定がないなら、売却・賃貸の検討をおすすめします。
Q. 売るなら相続の前と後、どちらがよいですか?
A. どちらにも利点があり、使える税の特例も異なります。親が元気なうちは本人の意思で売れる利点があり、相続後は空き家の特別控除などが使える場合があります。税額に関わる話なので、税理士に相談して判断するのが安心です。
Q. 兄弟で意見が分かれています。どうすればいいですか?
A. 共有名義のまま進めると、売却時に全員の同意が必要で、トラブルになりがちです。維持費の負担・各自の希望・将来の方針を、早めに共有しておきましょう。まとまらない場合は、司法書士など専門家を交えるのが有効です。
Q. 貸すのは難しいですか?
A. 立地に賃貸需要があれば選択肢になりますが、修繕費や入居者対応、空室リスクがつきまといます。古い戸建てはそのままでは借り手が付きにくく、リフォーム費用が必要になることも。貸す前に、必要な費用と見込み家賃を不動産会社に相談して見極めましょう。
参考にした公的情報
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※ 本記事は一般的な情報であり、税制・特例の適用条件は個別事情や制度改正により異なります。具体的な判断は税理士・司法書士など専門家にご確認ください。

